地域活性化に期待=ケーブル陸揚げで産業集積―北海道・第2部「蒼い北極」(6)・〔66°33′N=北極が教えるみらい〕 2024年10月07日 06時54分
北極海経由で日本と欧州をつなぐ光海底ケーブルの敷設計画では、日本側の陸揚げ局を北海道・苫小牧港に置く案が浮上している。苫小牧市にはソフトバンクが国内最大級のデータセンターを建設予定で、地元関係者らは陸揚げ局もできれば「関連産業が集積し、経済が活性化する」と心待ちにしている。
苫小牧市は札幌市から車で約1時間。製紙工場の大きな煙突から白煙が上がり、港周辺には工場やコンテナが立ち並ぶ。
ソフトバンクのデータセンター開業は2026年を予定。データ保管に重要なデータセンターとケーブル陸揚げ局はセットで整備されることが多く、木村淳副市長は両施設がそろえば「海外とリアルタイムでデータをやりとりできるという利点も加わる」と期待を示した。
港湾関係者も「企業が集まることで、港の振興につながれば歓迎」と話す。市民からは「市に何がもたらされるのか分からない」という本音も聞かれるが、市の担当者は「企業や人材が集まり、経済発展につながることを発信したい」と力を込めた。
データセンターや陸揚げ局は現在、関東地方に集中している。災害時のリスク分散などの観点から、国はこうしたデジタルインフラの地方分散を目指しており、道産業振興課の担当者は「冷涼な気候や再生可能エネルギーのポテンシャルを持つ道の優位性を示し、経済活性化につなげたい」と話した。