隣国の7割が「自国領」=ベネズエラ、ガイアナと対立―南米 2023年11月29日 14時37分

ベネズエラのマドゥロ大統領=28日、カラカス(AFP時事)
ベネズエラのマドゥロ大統領=28日、カラカス(AFP時事)

 【サンパウロ時事】強権姿勢を強める南米ベネズエラの反米左派マドゥロ政権が、隣の小国ガイアナの国土の約7割を占める地域を自国領と主張し、12月3日の国民投票を通じ「奪還」に向けた機運を高めようとしている。反発するガイアナは国際司法裁判所(ICJ)に対し投票差し止めなど暫定措置を求め、米国との軍事協力も模索。双方は一歩も譲らない姿勢だ。
 ベネズエラが領有権を訴えているのは、16万平方キロに及ぶ「エセキボ地域」。1899年の国際仲裁裁定で当時英領だったガイアナの領土と認められたが、ベネズエラは仲裁には不正があったとして無効を主張している。
 ガイアナの沖合では、2015年に石油メジャーの米エクソンモービルが大規模油田を発見したのを皮切りに、油田が相次ぎ確認された。ガイアナはオイルマネーで潤い、国際通貨基金(IMF)によれば今年の経済成長率は38%が見込まれる。経済的な思惑も絡み、ベネズエラ側の要求は最近になって高まった。
 ベネズエラの国民投票では、仲裁裁定を拒否するかや、係争地を最終的に自国領とするかなどを問う。マドゥロ大統領は投票を控え、領土を取り戻すため「国が一体になっている」と強調した。投票で国民の支持を得て、主張の正当性をアピールする狙いがあるとみられる。
 一方、ガイアナは仲裁裁定を「最終決着」と見なしている。ジャグデオ副大統領は24日、国益を守るため、外国軍の基地建設など「全ての選択肢がある」と表明。米国防総省の担当者らが近くガイアナを訪問すると明らかにした。
 ICJは28日、ガイアナの求める暫定措置に関して、12月1日に判断を示すと発表した。
 ガイアナは南米大陸の北部に位置。本州よりやや小さい国土に約81万人が暮らしている。人口の4割をインド系が占め、アリ大統領もインド系。 

海外経済ニュース