与党先行、野党一本化暗礁に=頼氏が立候補届け出―台湾総統選 2023年11月21日 20時08分

【台北時事】来年1月13日投開票の台湾総統選で、与党・民進党の頼清徳副総統(64)が21日、ペアを組む副総統候補の蕭美琴氏(52)と選管当局に立候補を届け出た。野党は候補者の一本化協議が暗礁に乗り上げたままで、各世論調査で支持率首位の頼氏が一貫して選挙戦をリードしている。届け出は24日に締め切られる。
頼氏は21日午前、台北市の中央選挙委員会で届け出を済ませた後、記者団に「台湾の人々が民主主義の道を前進し続けるか、『一つの中国』原則という古い道を歩み中国に依存するか、世界中が見ている」と強調した。蔡英文政権は民主主義の価値観を共有する日米などと関係を強化し、台湾統一の圧力を増す中国への抑止力を高めており、頼氏はこの路線を受け継ぐ考えを示している。
副総統候補の蕭氏は蔡総統の側近で、神戸市生まれで米国人の母を持つ。駐米代表(大使に相当)としてコロナ禍や昨年8月のペロシ米下院議長(当時)訪台に対応し存在感を発揮、米政界と太いパイプを築いた。民進党関係者は「実力は総統候補でもおかしくない」と太鼓判を押し、有力な女性候補の登用で頼氏の追い風になることへ期待を示した。
形勢逆転を目指し候補者一本化で先に合意した対中融和路線の最大野党・国民党の侯友宜・新北市長(66)と第2野党・民衆党の柯文哲・前台北市長(64)は、どちらが総統候補になるか駆け引きを続けている。柯氏は19日、「民衆党の総統候補として最後まで戦い続ける」と主張した。
総統選には無所属の鴻海(ホンハイ)精密工業創業者の郭台銘氏(73)も出馬を表明した。