チェチェン独裁者息子、容疑者殴る=「法制度への挑戦」と波紋―ロシア 2023年09月27日 17時11分

ロシア南部チェチェン共和国の独裁者カディロフ首長=3月13日、モスクワ(AFP時事)
ロシア南部チェチェン共和国の独裁者カディロフ首長=3月13日、モスクワ(AFP時事)

 ロシア南部チェチェン共和国の独裁者カディロフ首長の15歳の息子が、容疑者に殴る蹴るの暴行を加える動画をカディロフ氏自身がSNSで公表し、ロシア国内で波紋が広がっている。ロシアでも容疑者への暴行は違法だが、ペスコフ大統領報道官は26日、ノーコメントを貫き、独裁体制を黙認するプーチン政権に厳しい目が注がれている。
 容疑者はウクライナ出身で今年5月、ロシア南部ボルゴグラードのモスク(イスラム礼拝所)前で聖典コーランを燃やしたとして拘束された。ロシア当局は「ウクライナ保安局(SBU)のスパイ」という疑いもかけた。
 イスラム教徒が多数派を占めるチェチェン住民の要請を受け、容疑者の身柄は中心都市グロズヌイに移送。暴行動画は立ち会ったカディロフ氏がけしかける形で撮影されたという見方が強い。25日に動画を公表したカディロフ氏は「息子を誇りに思う」と開き直った。
 息子は治安機関職員ですらなく、「ロシアの法制度全体に対する挑戦だ」と問題視され、大統領付属人権委員会メンバーや独立系メディアなどから捜査を求める声が続出した。
 独裁の放任は長らく続き、ウクライナ侵攻でチェチェン兵への依存が高まったことで拍車が掛かった。ペスコフ氏は記者団の厳しい質問に「カディロフ氏の息子については話さない」と回答を拒否した。 

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