生成AI、消費者の近くに=スピーカー、車にも拡大 2023年09月24日 15時34分

【シリコンバレー時事】文書や画像を自動で作る生成人工知能(AI)の活用が広がっている。オープンAIの「チャットGPT」はスマートフォンアプリに加え、自動車向けにも提供。米アマゾン・ドット・コムは、スピーカー型端末に組み込む。企業の業務効率を上げるだけでなく、生活を便利にする可能性に目を付け、消費者との接点強化を模索する動きが出始めた。
アマゾンは20日、生成AIを支える大規模言語モデル(LLM)を音声アシスタント「アレクサ」に搭載すると発表した。まずは米国で試験提供する。スピーカー型端末などの「エコー」製品で利用できる。
生成AIを巡っては、グーグルやマイクロソフトが業務支援サービスを開始し、存在感を放つ。ただ、アマゾンのデイブ・リンプ上級副社長は「(他社は)クリエーターに照準を合わせており、消費者ではない」と指摘。家庭への普及は、スマート家電を手掛けてきた自社に分があると胸を張った。
従来は、一つの指示ごとに「アレクサ」と呼ぶ必要があった。LLMの搭載により、1回の呼び出し後にタイマーの設定や音楽の再生など複数の指示を与えても、こなすことができるようになる。会話の文脈をくみ、人間同士のように自然なやりとりもできる。
ドイツ高級車大手メルセデス・ベンツは米国で90万台超を対象に、チャットGPTを試験搭載できるようにした。目的地検索などの機能を、より直感的に声で操作できるようになったという。
生成AIでは、メールの下書きや会議資料の作成支援、プログラミングコードの提案といった企業向けサービスが先行して広がってきた。一方グーグルなどは、スマホでの動作に適した軽量版のLLMも企業向けに提供しており、小売りや金融など消費者に近いサービスの利便性を高める取り組みも今後増えてきそうだ。