放射線管理、厳格化へ=カプセル紛失受け罰金増検討―豪 2023年02月06日 05時16分

発見された放射性物質の入ったカプセル=1日、オーストラリア西部ニューマン近郊(西オーストラリア州政府提供)(AFP時事)
発見された放射性物質の入ったカプセル=1日、オーストラリア西部ニューマン近郊(西オーストラリア州政府提供)(AFP時事)

 【シドニー時事】オーストラリア西部で放射性物質の入ったカプセルが半月ほど紛失した問題を受け、豪政府や州の規制当局は放射線管理体制を厳格化する方針だ。不適切な取り扱いに対する罰金は現状では1000豪ドル(約9万円)にとどまっており、引き上げを検討する。
 一時紛失したのは、セシウム137を含んだカプセル(直径6ミリ、長さ8ミリ)で、鉄鉱石採掘用の測定機器の一部。1月中旬に西オーストラリア州の鉱山から修理工場まで約1400キロ輸送した途中でなくなり、捜索の結果、2月1日に発見された。当局はこれまでの調査から、振動で機器のねじが外れてカプセルが飛び出し、トラックの荷台から落下したとみており、所有者の鉱業大手リオティントや輸送業者の過失責任を追及する構えだ。
 政府のガイドラインや同州法では、放射性物質が人体や環境に影響を与えないよう有資格者による適正な取り扱いを定めている。だが、輸送を下請けに出す場合の取り決めは不十分だという。また、罰金についてアルバニージー首相は「ばかばかしいくらい低額だ」と指摘。サンダーソン同州保健相も「今の罰則は受け入れ難いほど軽い。どう重くするか検討している」と述べた。
 カプセルの被ばく線量はX線の10倍相当で、近づけばやけどや病気を引き起こす恐れがある。今回見つかったのは、道路から約2メートル離れた土の上で、周りは原野だったが、仮に市街地など人の多い場所に落ちていれば、惨事となった可能性もある。 

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放射性物質を含むカプセルが発見された現場付近=1日、オーストラリア西部ニューマン近郊(西オーストラリア州政府提供)(AFP時事)
放射性物質を含むカプセルが発見された現場付近=1日、オーストラリア西部ニューマン近郊(西オーストラリア州政府提供)(AFP時事)

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