韓国政局、大統領選モードに=「反政権」象徴の尹氏カギ 2021年04月08日 18時10分

韓国の尹錫悦前検事総長=2019年7月、ソウル(EPA時事)
韓国の尹錫悦前検事総長=2019年7月、ソウル(EPA時事)

 【ソウル時事】7日のソウル・釜山両市長選で与党が惨敗したことにより、残り任期約1年の文在寅大統領の求心力は急速に衰え、政界では来年3月の大統領選に向けた動きが本格化する見通しだ。「反政権」の象徴として高い人気を誇る尹錫悦前検事総長の動向がカギとなりそうだ。
 「国民の勝利と受け止めず、自分たちが勝ったと勘違いすれば、千載一遇のチャンスは消滅する」。保守系最大野党「国民の力」の金鍾仁非常対策委員長は8日の記者会見で「慢心」にくぎを刺した。
 浮かれてばかりいられない背景には、党内に大統領選に向け有望な人材が乏しいことがある。文政権の強引な「検察改革」に徹底抗戦し、先月の検事総長辞任後、与野党を通じて支持率トップの尹氏に期待するしかない状況だ。
 尹氏に意欲があるという見方では衆目が一致するが、検事一筋で政治経験や組織力がなく、大統領選を戦い抜けるか懐疑的な声も少なくない。一方で、安易に既成政党に入れば、文政権への「反逆」も「個人的野心のため」と見られ、失望を招きかねない。
 金氏は2012年の朴槿恵大統領当選の立役者であると同時に、文政権誕生の足掛かりとなった16年総選挙では現在の革新系与党「共に民主党」を勝利に導いた「キングメーカー」。「政権交代の最低限の基盤をつくった」として8日、昨年6月から務めた非常対策委員長を退任した金氏が今後、尹氏を軸に保守陣営再編を図るという観測が出ている。
 与党では3月まで党代表を務め、敗戦の責任を問われる李洛淵前首相が大きく後退。「夏ごろの党内予備選まで時間はあまりない。尹氏に対抗できるのはベーシックインカム(最低限所得保障制度)導入が持論で大衆的人気がある李在明・京畿道知事しかいない」(与党関係者)として、与党で支持率1位の李在明氏「一強」論が強まる可能性がある。
 ただ、国会議員の経験がなく、党内基盤が弱い李在明氏は、市長選で「審判」が下った文政権との差別化を図りつつ、政権を支える党内主流派の協力も得る必要がある。丁世均首相も近く退任して出馬準備に入る見通しで、党内主流派が李在明氏以外を後押しする場合、与党内レースは混沌(こんとん)としそうだ。 

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韓国京畿道の李在明知事=2020年12月、水原市(EPA時事)
韓国京畿道の李在明知事=2020年12月、水原市(EPA時事)

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