インド、対ロ通商見直し圧力に反発=米欧の「二重基準」疑問視 2025年07月19日 06時33分

【ニューデリー時事】米国がロシアの貿易相手国に「2次関税」をちらつかせて通商関係見直しを迫り、欧州も同調する動きを見せていることにインドが反発している。ロシアがウクライナに侵攻して以来、インドは割安となったロシア産原油の購入を拡大。同国の戦時経済を事実上支えてきた。
「この問題に関して二重基準がないか、特に注意を払いたい」。インド外務省のジャイスワル報道官は17日、定例記者会見でそうくぎを刺した。問題視したのは北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長の発言だ。
ロイター通信によるとルッテ氏は16日、訪問先の米ワシントンで中国やブラジルと共にインドを名指しして米国の2次関税の対象になると指摘。ウクライナでの停戦実現に向け、ロシアを説得するよう各国に求めた。
トランプ米大統領はロシアに対し、50日以内に停戦合意に応じなければ経済制裁を科すと警告。同国の貿易相手国にも税率100%の2次関税を課すとしている。
インドは、NATOに加盟する欧州各国が現在もインドを含む第三国で精製・加工されたロシア産原油製品を間接的に輸入していると批判。欧州が長年ロシアから安価な原油や天然ガスを調達してきた経緯もあり、米欧の対応はバランスを欠いているように映る。
こうした中、インドのプリ石油・天然ガス相は17日、首都ニューデリーでのイベントで、先を見越して原油調達先を「27から40カ国に拡大した」と述べ、実際に2次関税が課されても国内需要を満たせると自信を示した。
2次関税を巡る問題は、印米両国の間で行われている「相互関税」交渉にも影響する可能性がある。