インド軍撤収を正式要請=「親中派」大統領、印は関係継続模索―モルディブ 2023年11月20日 15時50分

【ニューデリー時事】インド洋の島しょ国モルディブで17日就任した親中国派のムイズ大統領が、駐留するインド軍部隊の撤収を正式に要請した。インドは「モルディブの外交方針の重要な転換」(地元メディア)と受け止めつつ、関係継続を模索している。
モルディブ大統領府によると、ムイズ氏は就任式翌日の18日、表敬訪問したインドのリジジュ地球科学相と面会。リジジュ氏に「国民の民主的な意思」を尊重するよう伝え、選挙公約通り部隊の撤収を正式に求めた。
モルディブには、近海の監視や救急搬送を担う航空機やヘリコプターを運用するため、約70人のインド軍兵士が駐留しているとされる。インドは人道面での貢献を強調するが、ムイズ氏は就任演説で「主権と独立を保つため、いかなる外国の部隊も駐留させない」と訴えていた。
インドメディアは、駐留部隊の運用を続けるため「実行可能な解決策」を両国が協議しているとする印政府高官の話を伝えた。ソーリフ前大統領はインド寄りだっただけに、インドには新政権の対中傾斜を防ぎたい考えがあるとみられている。
ムイズ氏は同じく面会した中国の※(※は言ベンに甚)貽琴国務委員に対しては、長年にわたる中国の貢献に謝意を伝え、「きょう、両国の歴史的な友好関係が新たな章を迎えた」と表明した。
ムイズ氏は親中路線を取ったヤミーン元大統領の下で住宅相を務め、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を利用した多くのインフラプロジェクトに携わった。モルディブはアジアと中東を結ぶ海上交通の要衝にあり、中国も投資やインフラ整備を通じ浸透を図ってきた。