〔米株式〕NYダウ続伸、316ドル高=金融システム不安が後退(21日) 2023年03月22日 06時18分

 【ニューヨーク時事】21日のニューヨーク株式相場は、イエレン米財務長官が預金保護に積極姿勢を示したことで金融システム不安が後退し、続伸した。優良株で構成するダウ工業株30種平均は前日終値比316.02ドル高の3万2560.60ドルで終了。ハイテク株中心のナスダック総合指数は184.57ポイント高の1万1860.11で引けた。
 ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比9497万株減の11億9586万株。
 イエレン米財務長官はこの日の講演で、預金の取り付け騒ぎが発生すれば、預金の全額保護の措置を取る方針を表明した。また、2008年の金融危機とは状況が異なると説明し、金融システムの健全性を強調。米連邦準備制度理事会(FRB)が導入した銀行向けの新たな資金供給策にも触れ、「状況は安定化しつつある」との認識を示した。
 市場では、イエレン氏の発言を受けて安心感が広がり、投資家心理が改善。幅広い銘柄で買いが先行した。このところ低迷していた金融株が買われ、大きく上昇した。経営不安から下落していた地方銀行株も買われた。
 市場の注目は、22日までの米連邦公開市場委員会(FOMC)に集まっている。0.25%の利上げを継続するとの観測が強い。米エコノミストは、信用不安を踏まえ、利上げを一旦停止した場合、「物価安定は達成しておらず、近く利上げを再開することになる。市場とのコミュニケーションの問題を抱える」と指摘した。
 個別(暫定値)では、ゴールドマン・サックスが2.5%高、JPモルガン・チェースが2.7%高。ダウ平均の構成銘柄以外では、バンク・オブ・アメリカが3.0%高、ウェルズ・ファーゴが2.7%高だった。地銀では、USバンコープが8.9%高、ニューヨーク・コミュニティー・バンコープが6.7%高と大幅上昇した。
 ファースト・リパブリック銀行は29.5%高。大手行による新たな支援策が協議されていると報じられたのを好感した。
 そのほか、景気後退懸念が緩和し、景気敏感株も上昇。ダウが1.6%高、ウォルト・ディズニーが2.5%高、ナイキが3.6%高、アメリカン・エキスプレスが3.7%高、キャタピラーが2.1%高。アップルの1.2%高、セールスフォースの1.9%高などハイテク株の上昇も目立った。

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