【2024年9月19日~20日】総裁定例記者会見(一部抜粋・要約) 2024年09月24日 17時04分

総裁記者会見一部抜粋・要約(2024年9月20日)

1.今回の決定内容について

  • 無担保コールレート・オーバーナイト物を0.25%程度で推移するよう促す、という金融市場調節方針を維持することを全員一致で決定
  • わが国の景気の現状は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復していると判断した。先行きについては、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。
  • 物価について、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響は減衰してきてくが、賃金上昇等を受けたサービス価格の緩やかな上昇が続くもとで、足元は2%台後半となっている。先行きは、これまでの輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、来年度にかけては、政府による施策の反動等が前年比を押し上げる方向に作用すると考えられる。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想される。展望レポートの見通し期間後半には、物価安定の目標と概ね整合的な水準で推移すると考えている。
  • 金融政策運営について、政策運営は、先行きの経済・物価・金融情勢次第ですが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている

2.金融資本市場が不安定な状況であるという認識と落ち着きを取り戻したと判断できる条件について

  • 金融資本市場では、アメリカをはじめとする海外経済の先行きを巡る不透明感が意識されていて、引き続き不安定な状況にあると認識している
  • 当面は、きわめて高い緊張感を持って注視し、わが国経済の見通しやリスク、見通し実現の確度への影響を、しっかり見極めていく必要がある
  • 政策判断に当たっては、内外の金融資本市場の動きそのものだけではなくて、その変動の背後にある、米国をはじめとする海外経済の状況などについて、丁寧に確認していくことが重要であると考えている
  • この点、最近の為替動向も踏まえると、年初以降の為替円安に伴う輸入物価上昇を受けた物価上振れリスクは相応に減少しているとみている。従って、政策判断に当たって、先ほど来申し上げてきたような点を確認していく時間的な余裕はあると考えている。

3.賃金の先行きについて

  • 最近の名目賃金の動きをみると、春闘の結果が反映されるかたちで、所定内給与が伸び率を高めているほか、昨年の好業績を受けて、夏季のボーナスもしっかりと増加しており、先行きについても、賃金の上昇が継続していくとみている
  • 労働市場をみると、人口動態も反映して、追加的な労働供給の余地は限られてきていて、人手不足感は高まっており、マクロでみた企業収益が好調であることも踏まえると、来年の春季労使交渉でもしっかりとした賃上げが続くことが期待できる
  • ただし、今後、海外経済の動向などが企業収益や企業行動に影響を及ぼすことがないか、丁寧に点検していく。また、賃上げの動きに広がりがみられてはいるが、中小企業の中には、直面する環境の厳しさを指摘する声も少なくないことも認識しておく必要があり、持続的な賃上げが幅広い先で実現していくか、引き続き、丁寧に点検していく。

4.米国経済に対する認識

  • 大まかに言って、判断が難しい部分があるかなと思う
  • というのは、消費を中心に支出面はかなり好調が持続している。これに対して、労働市場のデータをみるとやや弱めというか、これまでの超過需要が非常に強いという状態から、需給均衡かあるいは失業率はちょっと上昇するような状況になってきて、その間に若干のギャップがある中で、インフレ率ははっきりと低下を続けているということだと思う。
  • これをまとめて、ソフトランディングになっていくのかあるいはもうちょっと減速が強まるのか、その中でFRBが減速傾向を食い止めるためにどれくらいの利下げをしていくのか、この辺の全体像はまだちょっとみえていないっていうところなので注意してみていきたいと思うし、そのわれわれの見通しに対する影響を引き続き、丁寧に確認していきたい

5.個人消費を判断を上方修正したことについて

  • 今回、若干判断を上方修正したが、データ的には消費活動指数が第2四半期は増加に転じた、それから7月も増加が続いている、更にその後の動きについてもヒアリングや高頻度のデータでは、緩やかな増加基調が続いているということがまず一点。それから猛暑とか台風と自然災害でちょっといろいろ揺れているが、根っこのところで賃金が着実に上昇してきて所得環境の改善が続いている。こういう辺りを総合して少し判断を引き上げたということ。
  • そのうえでそれが基調的物価上昇の判断にどう影響するかということだが、この消費のデータも含めて、その後のデータをみてもわれわれの見通し通りに日本経済は足元動いてきているというふうにみている。これは若干なりとも、基調的物価上昇率に対する判断を上げてもいいような材料だが、他方で、海外経済、特に米国経済の動きが先行きに関して若干不透明性を高めている。それが何か相打ちのようなかたちに足元なっているというふうな認識をしている。


[ゴールデン・チャート社]

■関連リンク

FED&日銀ウォッチ

主要各国の金融政策スケジュール

■参考資料(外部サイト)

総裁記者会見要旨(2024年9月19日、20日開催分)(日本銀行)

金融政策決定会合の運営(日本銀行)