中間層再生、道険しく=財政赤字も拡大―バイデン米政権 2023年11月04日 14時55分

米財務省内で行われた会合で演説するイエレン財務長官=10月25日、ワシントン
米財務省内で行われた会合で演説するイエレン財務長官=10月25日、ワシントン

 【ワシントン時事】「低所得層を底上げし、中間層を拡大する」。バイデン米大統領は2021年1月の就任以来、一貫して中間所得層の再生を訴えている。だが、米社会に深く根ざす格差に縮小の気配はなく、1年後の大統領選を控えてバイデン氏の支持率は低迷。野党共和党が下院で過半数を握る「ねじれ議会」に加え、財政赤字も拡大傾向にあり、打つ手が限られる中、中間層復活の道は険しさを増している。
 「今後10年で黒人コミュニティーに対して約800億ドル(約12兆円)、中南米系には約580億ドルの融資拡大につながる」。イエレン財務長官が10月25日の会合で、地域金融への支援を通じた融資促進策を表明すると、会場の自治体関係者らから拍手が湧き起こった。
 黒人や中南米系といったマイノリティー(少数者)はバイデン氏の重要な支持基盤。しかし、同氏への支持はこうした社会的弱者の間でも伸びていない。世論調査会社ユーガブなどの最新調査では、低所得層の支持率は37%と、全体の39%を下回る。特に物価対策や政府支出で不満が強い。
 バイデン政権はコロナ経済対策で、児童税額控除の拡大など中・低所得層の支援に力を入れた。しかし、連邦準備制度理事会(FRB)の調査によると、22年までの3年間で低所得層の収入が中央値で5%の増加にとどまったのに対し、高所得層は15%増と、格差は逆に広がった。金融緩和や財政拡大による資産価格上昇が背景にあるとみられる。
 一方、コロナ対策が終了しても、財政赤字の拡大傾向は続いている。23会計年度(22年10月~23年9月)の赤字額は前年度比23%増の1兆6950億ドルに上った。コロナ下の20、21年度を除けば過去最大だ。
 FRBがインフレ抑制を目指し、急ピッチの利上げを進めた影響で、国債の金利負担も重くのしかかる。金利高止まりが予想される中、長期金利の指標となる10年物国債利回りは先月、16年ぶりに一時5%台に乗せた。
 米シンクタンク「責任ある連邦予算委員会」のマーク・ゴールドワイン氏は、5%近い長期金利の水準が続けば「金利負担は2年で、国防費などを上回る」と警告。与野党の政治家に財政健全化で「立ち上がる必要がある」と訴えた。 

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