FRB、「失敗」認めざるを得ず=米銀破綻で議会から批判噴出 2023年03月30日 19時30分

【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)のバー副議長(金融規制担当)は29日の下院金融サービス委員会で証言し、米中堅銀行シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻について「監督も失敗した」と語った。前日の上院銀行委では「ひどいリスク管理」と断じ、SVB側が適切に対応しなかったとの見解を繰り返していた。しかし、リスクを把握していたのに破綻を防げなかったことを厳しく問われ、監督責任を認めざるを得なくなった形だ。
バー氏は28日の上院銀行委証言で、SVBは金利上昇や預金流出リスクなどへの備えが不十分で「経営失敗の教科書のような事例だ」と強調。一方で、サンフランシスコ連銀の検査官はリスク管理の問題点を2021年11月からSVBに指摘し、監督当局としてきちんと対応したと説明していた。
ところが、これがかえって「当局は問題を知っていたのに、誰も取り締まらなかった」(与党民主党のテスター上院議員)といった批判を招く格好となった。
29日の金融サービス委では、バルガス下院議員(民主党)が「規制執行の教科書のような事例がどうしてなかったのか」とただしたのに対し、バー氏は「もっと(対応などを)強く訴え、迅速に措置を講じるべきだったのかもしれない」と、FRBにも落ち度があったとの認識を示唆した。
FRBは、SVBへの監督や規制に関する検証を進め、5月1日までに報告書を公表する予定だ。SNSも絡み、異例の速さと規模の取り付け騒ぎの果てに引き起こされた破綻劇は、当局や市場に大きな衝撃を与え、米欧の信用不安の端緒となっただけに、検証結果への注目度は高い。バー氏は「報告書にはSVB側とのやりとりなどが含まれる」との見通しを語った。