緩和縮小、11月以降か=コロナ変異株が雇用直撃―米 2021年09月04日 14時18分

 【ワシントン時事】米国の労働市場が、新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」の感染拡大に直撃されている。順調だった雇用の回復は、8月に入って急減速。中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)が景気下支えの量的緩和策について、年内の縮小開始を今月下旬にも決めるという強気のシナリオは吹き飛び、11月以降に判断が持ち越される可能性が高まった。
 米労働省が3日発表した8月の非農業部門の就業者数は前月比23万5000人増と、6、7月の4分の1程度。デルタ株のまん延で、雇用を引っ張ってきた飲食業の就業者数が減少に転じたことなどが響いた。
 FRB内には、雇用増が85万人以上なら9月21、22日の政策会合で緩和の縮小開始を決定できるという強気の意見があった。しかし、結果はその3分の1に満たない低調な伸び。市場では「9月決定の扉は完全に閉ざされた」(米金融大手ウェルズ・ファーゴ)という見方が広がっている。
 一方で、コロナ対策の失業者支援が近く打ち切られることから、今後は復職者が増え、雇用に勢いが戻るという期待もある。バイデン大統領は3日の演説で「景気と労働市場は変異株による浮き沈みを乗り越えられる」と述べ、雇用回復の先行きに自信を示した。
 ただ、情勢を見極めるには、10月上旬に発表される次の雇用統計まで待たねばならない。このためFRBは緩和縮小を急がず、11月以降に決断するとみられる。
 FRBは昨春、コロナ危機を受け、米国債などを大量購入して市場に資金供給する量的緩和を導入した。パウエル議長は先月の講演で、雇用の改善が「明確に進展した」として、「年内の緩和縮小開始」が適切だと表明。「統計やリスクを慎重に分析する」とも語り、雇用の行方がカギを握るという見解を示していた。 

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