巨額投資、中低所得層に的=成長底上げへ公平性重視―米大統領議会演説 2021年04月29日 18時02分

 【ワシントン時事】バイデン米大統領は28日の議会演説で、中低所得層に寄り添う姿勢を強く示した。経済成長の底上げを図るため、4兆ドル(約435兆円)規模の巨額投資を提案。経済格差を是正し、米国を支える中低所得層に公平な機会を提供する改革へ決意を表明した。
 「米国を築いたのはウォール街ではない。中間層と労働組合だ」。バイデン氏は経済の土台はブルーカラー労働者が支えていると訴え、「インフラ投資で生まれる雇用の9割近くは大卒資格が不要だ」と語り掛けた。
 バイデン氏は、インフラ整備などに8年間で2兆ドル超を投じる「米国雇用計画」を3月に公表。この日の演説では中低所得層の子育て支援や教育機会提供などに10年間で約1兆8000億ドルを充てる「米国家族計画」を新たに表明した。
 道路や橋、高速通信回線網といったハードと、社会福祉を手厚くするソフト分野の強化に戦後最大規模の財政支出を提案。激しさを増す中国などとの競争に勝ち残る上で、「一世代に一回あるかないかの投資だ」と議会に理解を求めた。
 バイデン氏が中低所得層支援を重視するのは、規制緩和や減税で経済格差が深刻化し、成長に欠かせないこうした層が細ってしまったからだ。連邦準備制度理事会(FRB)によると、所得上位1%の保有資産は過去30年間で約8倍に増えたが、下位50%は約3倍強にとどまった。
 トランプ前政権時の減税は、大企業や富裕層に恩恵が偏る一方、雇用創出につながる「企業投資は拡大しなかった」(イエレン財務長官)。バイデン氏は「公平な負担」を求め、企業と富裕層への増税で財源を確保し、富の集中にも手を打つ考えだ。
 政権は成長戦略法案が夏をめどに議会で可決されるシナリオを描く。しかし、社会福祉の拡充も「インフラ投資」と主張し、成長戦略の規模を膨らませた財政方針に、野党共和党は「制御不能」(スミス下院議員)と批判を強めている。
 バイデン氏は「『インフラ』の概念は国民の要求とともに常に進化する」と述べ、ポピュリズム(大衆迎合主義)的ばらまき政策との批判に反論。米国の将来に投資する成長戦略をレガシー(政治的遺産)としたい考えだが、実現に向けた議会との調整は困難を極めそうだ。 

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