異次元緩和にギャンブルの懸念=総裁交代、「2年で物価2%」へ一変―日銀の13年上期議事録 2023年07月31日 09時01分

退任記者会見を終え、退席する日本銀行の白川方明総裁(肩書は当時)=2013年3月、日銀本店
退任記者会見を終え、退席する日本銀行の白川方明総裁(肩書は当時)=2013年3月、日銀本店

 日銀は31日、2013年上半期(1~6月)の金融政策決定会合の議事録を公表した。12年12月に発足した第2次安倍晋三政権が求める2%の物価目標導入に否定的だった白川方明総裁(肩書は当時、以下同)が13年3月に任期途中で退任、後任の黒田東彦総裁がアベノミクス「第1の矢」として異次元の金融緩和に踏み出した時期に当たる。「2年程度で2%」の実現を目指した「黒田バズーカ」には当初から「ギャンブル」との懸念が出ていたことが分かった。
 安倍政権が任命した積極緩和論者の黒田氏の下、日銀と政府の関係は対立から蜜月へ変化したが、「壮大な社会実験」とも呼ばれる異次元緩和は出口の見えないトンネルに入っていく。2%の持続的・安定的な実現は10年後の今も達成できていない。議事録は年2回、10年経過後に半年分がまとめて公表される。
 ◇白川氏「相当の努力必要」
 「目標が高過ぎて実現の不確実性が大きい」。13年1月21、22日の決定会合。2%の物価目標を導入すること、その実現へ政府と連携を強化する共同声明を公表することに佐藤健裕審議委員はいずれも反対した。政府出席者に対しては「2%の目標達成の責任を日銀に押し付けるだけではなく、一体となって取り組む気持ちを誠実に持ってほしい」と注文を付けた。物価目標を巡る政策委員9人の採決結果は、賛成7、反対2。
 白川氏は一貫して2%に否定的だったが、日銀法改正を視野に導入を迫る安倍政権に退路を断たれ、賛成に回った。「これは(達成に)相当の努力を必要とするものだと認識しておいた方がいい」。実現の自信を欠いたまま、中央銀行の独立性を守ることを優先した。
 ◇黒田氏「次元違う緩和を」
 「これまでと次元の違う緩和を行う必要がある。戦力の逐次投入は避け(物価)目標をできるだけ早期に実現する」。白川氏から総裁を引き継いだ黒田氏は、就任後初めて臨んだ4月3、4日の会合で居並ぶ政策委員を前にこう切り出した。積極緩和を唱える「リフレ派」の論客で副総裁に就いた岩田規久男氏も「一番大事なことは、2年程度で2%の物価目標を達成することだ」と訴えた。
 これに対し、2%目標の導入に1月の会合で反対していた木内登英委員は「2年程度という期限を示すことに反対だ」と主張した。
 ただ、追加策の必要性には「新体制となった機を捉え、一段と強力な緩和措置を検討することは重要だ」(宮尾龍蔵委員)など賛成意見が多く、2年でマネタリーベース(資金供給量)を倍増させる異次元緩和の導入を決めた。佐藤氏も賛成に回ったが、大規模緩和について「効くか効かないか、ギャンブル性の強い政策となることは覚悟すべきだ」と懸念を示した。 

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「必要な政策をすべて決定した」。異次元の金融緩和策を決定後、記者会見でパネルを使い説明する日本銀行の黒田東彦総裁(肩書は当時)=2013年4月、日銀本店
「必要な政策をすべて決定した」。異次元の金融緩和策を決定後、記者会見でパネルを使い説明する日本銀行の黒田東彦総裁(肩書は当時)=2013年4月、日銀本店

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