金利操作修正の是非議論=慎重論も根強く―27日から日銀会合 2023年07月24日 19時31分

日銀は27、28両日、金融政策決定会合を開く。物価の上振れを受け、大規模金融緩和の一環として導入している長期金利操作の見直しの是非を議論する。ただ、債券市場の金利形成がゆがむといった副作用は和らいでいる。日銀内では拙速な政策修正に慎重論も根強く、現在の緩和策は維持される可能性が高い。
会合では3カ月ごとに公表している景気予測「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」もまとめる。消費者物価上昇率(生鮮食品を除く)の見通しについては、2023年度を前年度比2%台半ば(前回4月時点は1.8%)に上方修正する見通し。24年度(同2.0%)、25年度(同1.6%)は小幅の見直しにとどまる公算が大きい。
今年の春闘では賃上げ率が30年ぶりの高水準となったほか、食料品を中心に値上げの動きが広がっている。消費者物価の上昇率は足元で前年同月比3%超と、日銀が目標とする2%を上回って推移している。今後、賃金と物価が共に上昇する好循環が持続できる見通しが立つかが焦点となるが、日銀では2%の物価目標の持続的・安定的な実現はなお見極めが必要と判断している。
こうした物価動向を踏まえ、会合ではマイナス金利解除など利上げは見送られる方向だが、「プラスマイナス0.5%程度」まで容認している長期金利変動幅の拡大などの是非が討議される見込みだ。
前回6月の金融政策決定会合では、金利操作について政策委員の1人から「早い段階で見直しを検討すべきだ」との意見が出た一方、「政策修正は時期尚早だ」と見直しに慎重な見方が多数あった。
今週は日米欧で金融政策の決定会合が相次ぐ。日銀に先立ち、米連邦準備制度理事会(FRB)は25、26両日に、欧州中央銀行(ECB)は27日にそれぞれ会合を開く。市場では、米欧の中銀はインフレを抑え込むため、共に利上げに踏み切るとみられている。日銀の政策決定は、円相場や国債取引など金融市場に影響を及ぼしそうだ。