賃金上昇が不十分=フィッチ格付け担当者・インタビュー 2023年07月19日 15時47分

インタビューに応じる格付け大手フィッチ・レーティングスのクリスジャニス・クルスティン氏=12日、東京都千代田区
インタビューに応じる格付け大手フィッチ・レーティングスのクリスジャニス・クルスティン氏=12日、東京都千代田区

 格付け大手フィッチ・レーティングスのソブリン格付け部門ダイレクター、クリスジャニス・クルスティン氏は19日までにインタビューに応じ、日本の物価動向に関し「より高い賃金上昇がなければ、物価上昇が定着することは困難だ」との見方を示した。2%の物価上昇目標を持続的に実現するため、日銀は早急に政策変更はせず、大規模緩和を当面継続すると予想した。
 日本の経済情勢を巡っては、コロナ禍からの回復が進み物価上昇を下支えしていると指摘。足元の状況について「日銀が『好循環』と呼ぶ持続的な物価上昇や賃金上昇の実現に向けた兆しはある」と語った。ただ、物価目標の安定的な達成には至っておらず、日銀が副作用もある長短金利操作をこの1、2年のうちに修正することはあっても、急な政策転換にはならないとの見方を示した。
 フィッチは今年3月、日本国債の格付けを「A」に据え置き、格付け見通しを「安定的」としている。ただ、日銀の政策修正などで金利が急上昇した場合、政府財政の悪化につながり、格付け上のリスクになり得ると示唆した。 

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