強まる政策修正観測=物価見通し上げ公算大―日銀7月会合 2023年07月14日 18時23分

 金融市場で日銀が現在の大規模金融緩和策を修正するとの観測が強まっている。消費者物価指数の上昇率が足元で3%を超えるなど日銀の想定を上回って推移していることが背景にある。日銀は27、28日に開く金融政策決定会合で、物価見通しを上方修正する公算が大きく、政策修正観測から円高や長期金利上昇が鮮明となっている。
 14日の東京市場では、円相場が一時1ドル=137円台前半に上昇した。6月末に145円台まで下落した後、円高方向に振れている。長期金利の指標となる新発10年物国債(371回)の流通利回りは一時0.485%に上昇(債券価格は下落)した。長期金利は3月10日以来約4カ月ぶりの高水準となり、日銀が金利変動幅の上限としている0.5%に一段と接近した。
 今年の春闘では、賃上げ率が30年ぶりの高水準を実現。日銀は賃金と物価がともに上昇する好循環の達成に期待を強めている。日銀が今月の会合で、2023年度の物価上昇率見通しを、現在の前年度比1.8%から2%台に引き上げる公算が大きいことも、市場の政策修正観測を後押ししている。
 ただ、日銀内ではマイナス金利政策解除など利上げに対して慎重姿勢が強い。市場では「7月会合では長期金利の変動幅をさらに拡大する可能性が高い」(UBS証券の足立正道チーフエコノミスト)などと、政策の微修正にとどまるとの見方が広がっている。 

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