日銀決定会合、大規模緩和を維持=植田総裁「物価の下がり方遅い」 2023年06月16日 16時03分

金融政策決定会合を終え、記者会見する日銀の植田和男総裁=16日午後、日銀本店
金融政策決定会合を終え、記者会見する日銀の植田和男総裁=16日午後、日銀本店

 日銀は16日の金融政策決定会合で、現在の大規模な金融緩和策の維持を決めた。植田和男総裁は会合後の記者会見で、物価上昇率を2%で安定させる目標の持続的な達成には「なお時間がかかる」として、粘り強く緩和を継続する考えを強調した。ただ、輸入物価の下落が物価の上昇率を押し下げていく効果について「下がり方が思っていたよりもやや遅いという感触は持っている」との認識も示した。
 今回は植田氏が4月に総裁に就任してから2回目の会合となった。日銀の2%の目標に対し、消費者物価(生鮮食品を除く)は足元で前年比3%台半ばで推移する。日銀は4月に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で2023年度の物価上昇率見通しを前年度比1.8%に上方修正した。7月にまとめる次回の展望リポートまでに物価見通しが上振れする可能性がないか経済データを点検する。
 物価高を巡り、植田氏は「国民の大きな負担になっていることは強く認識している」と語った。想定より物価が高止まりするリスクにも言及したが、性急な政策修正によって「物価目標を達成せずにインフレ率が下がった場合の方が対応が難しい」とも述べた。賃上げの先行きに不確実性があることも緩和継続の理由に挙げた。
 日銀は、短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度に誘導する長短金利操作を継続し、長期金利で変動を容認する上限を0.5%程度に据え置くことも決定した。長短金利操作の副作用については「(現時点では)やや落ち着いている」との認識を示し、今後も効果と副作用を比較して修正が必要か見極めていく考えを示した。 

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