金融緩和「粘り強く継続」=修正「時間かけ判断」―植田日銀総裁が内情で講演 2023年05月19日 16時45分

内外情勢調査会で講演する日銀の植田和男総裁=19日午後、東京都港区
内外情勢調査会で講演する日銀の植田和男総裁=19日午後、東京都港区

 日銀の植田和男総裁は19日、東京都内で開かれた内外情勢調査会で講演した。4月に就任した植田氏が講演するのは初めて。国内外の経済や金融市場について「不確実性が極めて高い」と指摘した上で、「粘り強く金融緩和を継続していく姿勢は不変だ」と述べた。緩和の修正については「時間をかけて判断する」と語った。
 市場では早期の政策修正観測が浮上しているが、植田氏は金融緩和の継続を明言。「現時点では2%の『物価安定の目標』の持続的、安定的な実現が見通せる状況には至っていない」との認識を示した。植田氏は、賃金の上昇を伴う形で2%の物価安定目標実現を目指すとした上で「必要があればちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」とも述べた。
 足元で3%超の物価上昇率が続いていることについては、「輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響は減衰する」と指摘。今年度半ばにかけて2%を下回る水準まで上昇幅が縮小するとの見通しを示した。海外経済に関しては米欧発の金融不安を背景に、「金融機関の貸し出し姿勢の変化などを通じ、下振れするリスクに注意が必要だ」と語った。 

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