「債務上限」問題が影=米デフォルトなら混乱必至―G7 2023年05月12日 06時08分

新潟市で開催中の先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で、米国の「債務上限」問題への懸念が強まっている。上限が引き上げられず、米国がデフォルト(債務不履行)に陥れば、世界経済や金融の混乱は必至。途上国支援など世界経済の安定に向けて話し合う議題が多い中、G7を主導する米国を巡る不透明感が影を落としている。
「世界的な景気下振れを引き起こすばかりか、米国の指導力を損なう」。イエレン財務長官は11日、G7開幕前の記者会見で、米国が自らの手で「深刻な脅威」を招かぬよう、議会に債務上限関連法案の速やかな可決を強く求めた。
9日にはバイデン大統領とマッカーシー下院議長(野党共和党)ら与野党議会指導者が債務上限問題で協議したが、物別れに終わったことでリスクが改めて意識された。今後の再協議を控え、イエレン氏は「違いは克服される」と努めて楽観したが、来年の大統領選を控え与野党ともに安易な妥協は許されない事情も透けて見える。
世界で最も安全とされる米国債がデフォルトとなれば、国際金融市場の大混乱は不可避だ。イエレン氏は「大惨事からわれわれを救う良い選択肢はない」と、打つ手が限られることを認めた。他のG7諸国も「米政府は全力を尽くすと信じる」(植田和男日銀総裁)と協議の行方を見守るしかない状況だ。